研究課題/領域番号 |
05671659
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
藤井 英治 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (20221541)
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研究分担者 |
岩城 博 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (70107308)
天笠 光雄 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (00014332)
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キーワード | 前癌病変 / 悪性潜在能 / 非接触型色彩色差計 / 上皮性異形成 / サイトケラチン発現性 |
研究概要 |
口腔の白板症および紅板症は前癌病変とされており、その臨床像と病理組織学的所見および悪性潜在能との関連について研究が進められている。本研究は、口腔前癌病変の臨床像を色彩所見から、また病理組織像をサイトケラチン(以下CK)の発現性からとらえることにより、その悪性潜在能のより客観的かつ定量的な評価法を確立することを目的としている。 色彩所見については、非接触型の色彩色差計をハロケン光源と組合せることにより、口腔粘膜病変の色彩測定に適した新しい測色法を開発した。口腔内における測色機を用いた色彩測定は、これまで採光条件を一定に保つことが困難であったことから、測色データにバラツキが目立った。そこでわれわれは口腔内用白色標準板を考察し、これを用いて口腔内被験部において測色直前に採光条件設定のcalilmationを行う測色法を開発した。この測色法を用いて健常口腔粘膜および白板症、扁平上皮癌の色彩測定を行ったところ、視感比色法によるデータと高い相関性をもった測色結果が得られ、本法の有用性が確認された。健常粘膜色を基準点として、白板症扁平上皮癌の色差をL^*a^*b^*表色系で表わすと、明度指数L^*は、白板症で増加し、扁平上皮癌で減少するものが多く、色度成分a^*b^*はいずれも、白板症で減少し、扁平上皮癌で増加するものが多い傾向であった。 悪性潜在能の病理組織学的な指標とされる上皮性異形成の程度も、定量的な評価法がなく異型性の境界も必ずしも明瞭でない。CK発現性は、前癌病変の異型度を細胞単位でより明確に示す指標となりうるものと考えられる。現在CKの各サブクラスに対応するmonospecific抗CKモノクロナール抗体を用いて、白板症の切除材料におけるCK発現性についてデータを集積中である。既存の病理組織学的異型度の指標とCK発現性とを対応させ、その相関性についても検討している。
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