研究課題/領域番号 |
05671674
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石井 友行 九州大学, 歯学部, 助手 (00159667)
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研究分担者 |
窪田 泰孝 九州大学, 歯学部, 助手 (60205151)
中村 誠司 九州大学, 歯学部, 講師 (60189040)
岡 増一郎 九州大学, 歯学部, 教授 (50038866)
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キーワード | 口腔粘膜 / 扁平苔癬 / T細胞 / 分子生物学 |
研究概要 |
1.生検凍結材料よりRNAを抽出し、PCR法にてT細胞レセプターVβファミリーの使用について検討した。Vβ2、Vβ5.2、Vβ7が末梢血と比較して高い頻度で認められたが、患者間で差があり、疾患特異的なT細胞の同定は困難であった。本疾患における局所T細胞はオリゴクローナルなT細胞から構成されており、本疾患の原因もheterogeneousなものであることが示唆された。 2.クローン化したCD4+T細胞株のサイトカイン産生機能実験を行なった。主として、IL-2、IL-6、IL-10、INF_γを産生するTh1タイプのT細胞であった。 3.免疫組織学的研究では、 1)病巣局所のT細胞の細胞接着分子(VLA-4、-5、ICAM-1)の発現増強が確認され、T細胞が血管より遊出し結合組織内を浸潤する過程でT細胞と細胞間マトリクスとの相互関係に重要であることが示唆された。 2)正常上皮細胞に発現が認められないICAM-1の発現が病巣上皮細胞に認められた。このことは病巣部T細胞がICAM-1のリガンドのLFA-1の著明な発現を認めることと合わせてT細胞の上皮細胞への浸潤に重要であることが示唆された。 3)正常血管内皮細胞に比べてELAM-1、ICAM-1の過剰発現が認められ、T細胞の局所浸潤にこれらの抗原分子が重要であることが示唆された。 4)病巣上皮細胞とくに基底細胞層のVLA-4、-5、-6の発現異常を認め、連続性が消失していた。このことはコラーゲン、ラミニンを介した基底細胞間の結合の脆弱を示唆し、本症の病理組織学的所見の特徴である水腫様変性を理解する上で重要な所見であると思われた。 4.本症における神経ペプチド(サブスタンスP等)の役割について、抗ペプチド抗体を用いて観察し、上皮下結合組織にペプチド陽性末梢神経の分布を確認、その意義について検討中である。
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