1.組織適合抗原の明らかな2系の近交系ラットを用いて、同種保存骨の抗原性を探索した。Brown-Nor-Wayラットの大腿骨から海綿骨を除去した皮質骨より、凍結、凍結乾燥、脱脂、完全脱灰、部分脱灰、オートクレイブ、焼成などの方法にて同種保存骨を作製し、エチレンオキサイドガスにて滅菌した。これらを、Fischerラットの腹部筋肉内に埋入し、3週間後にBrown-Norwayラットから採取した全層皮膚を背部に作製した皮膚欠損部に植皮した。そして、移植皮膚が完全に黒変した日数をもとに、あらかじめ移植した同種保存骨の抗原性を判断したところ、焼成、オートクレイブ、完全脱灰、凍結乾燥、凍結、部分脱灰、脱脂の順に抗原性が低かった。 2.同種保存骨の抗原性については、当初の二次皮膚片移植法では移植部位が皮下つまり異所性であるので、同所性骨移植とは免疫反応も異なると考えられる。そこで、免疫学的検索として、補体依存性細胞傷害試験(液性免疫)、そしてMitogen反応およびリンパ球混合培養(細胞性免疫)を追加する予定である。 3.上記の各種同種保存骨をラットの腹部筋肉内に移植し、経時的に骨誘導能を組織骨形態計測法にて検索したところ、移植後4週目では完全脱灰、部分脱灰、凍結乾燥、凍結、脱脂、オートクレイブ、焼成の順に骨誘導能が優れていた。 4.部分精製骨形成因子の担体としては、牛骨I型アテロコラーゲンとペプシン消化牛脱灰骨基質残渣ゼラチンの配合比が2:8の複合材が、骨欠損部において同種脱灰骨以上の骨誘導能を有し、骨代用材として臨床応用の可能性を示唆した。
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