ラット同種保存骨と牛骨由来骨形成因子(BMP)添加骨代用材とを併用したところ、骨誘導能においては完全脱灰同種保存骨が、そして力学的特性においては凍結乾燥同種保存骨を用いたものが優れていた。したがって、この両者に自家骨髄を併用したBMP添加ラット同種保存顎骨を作製し、辺縁切除や区域切除などの各種の顎骨欠損部に移植し、骨誘導能、力学的特性、周囲軟部組織の反応に関して検索した。下顎骨辺縁切除後の欠損部においては、自家骨髄を併用したものの方が骨形成能に優れており、自家骨髄を併用することにより完全脱灰同種保存骨と凍結乾燥同種保存骨にはその差がなくなった。しかし、力学的特性においては、自家骨髄の併用の有無にかかわらず、凍結乾燥同種保存骨を用いたものの方が優れていた。周囲軟部組織の反応に関しては、実験群による差がなかった。顎骨区域切除後の欠損部への移植実験において、移植材料の固定が十分に行いにくく、実験の遂行に支障を来している。この群の実験には家兎以上を用いるか、下顎骨の代わりに四肢骨で代用実験するかの予備実験を現在行っている。 ラットによる実験結果は、臨床応用の確かな指標になりにくいことがある。したがって、人間により近い哺乳動物である家兎、犬および猿を用いて、同様の同種保存顎骨移植実験を行う必要があり、今後検索する予定である。
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