1.同種保存骨の処理法において、焼成、オートクレイブ、完全脱灰、凍結乾燥、凍結、部分脱灰、脱脂の順に抗原性が低かった。骨誘導能に関しては、完全脱灰、部分脱灰、凍結乾燥、凍結、脱脂、オートクレイブ、焼成の順に優れていた。 2.ラット同種保存骨と牛骨由来骨形成因子(BMP)添加骨代用材とを併用したところ、骨誘導能においては完全脱灰同種保存骨が、そして力学的特性においては凍結乾燥同種保存骨を用いたものが優れていた。 3.この両者に自家骨髄を併用したBMP添加ラット同種保存顎骨を作製した。下顎骨辺縁切除後の欠損部においては、自家骨髄を併用したものの方が骨形成能に優れており、自家骨髄を併用するところにより完全脱灰同種保存骨と凍結乾燥同種保存骨にはその差がなくなった。しかし、力学的特性においては、自家骨髄の併用の有無にかかわらず、凍結乾燥同種保存骨を用いたものの方が優れていた。周囲軟部組織の反応に関しては、実験群による差がなかった。顎骨区域切除後の欠損部への移植実験において、移植材料の固定が十分に行いにくく、実験の遂行に支障を来している。また、ラットによる実験結果は、臨床応用の確かな指標になりにくいことがある。したがって、人間により近い哺乳動物である家兎、犬および猿を用いて、同様の同種保存顎骨移植実験を行う必要があり、現在行っている。
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