研究概要 |
平成5年度の研究において,median EEG frequency吸入鎮静法における低濃度笑気(0〜40%)吸入時にmedian EEG frequencyの低下が認められ,至適鎮静状態において5〜6Hzを示すことが明らかとなった.平成6年度は,平成5年度に行った笑気吸入鎮静法での脳波記録に対し周波数帯域別構成比による分析を加え,さらにdiazepamあるいはmidazolamによる静脈内鎮静法でのmedian EEG frequencyならびに周波数帯域別構成比の推移と鎮静状態との関連を検討し,さらに臨床における精神鎮静法下での歯科治療時のmedian EEG frequencyと周波数帯域別構成比の推移を鎮静薬投与ならびに治療内容を考慮した検討を加え,臨床での鎮静度評価の指標としてのmedian EEG frequencyの有効性を評価した. この結果,diazepamあるいはmidazolam投与により,投与後初期のmedian EEG frequencyの著しい増加と精神鎮静状態が持続する間の比較的安定した緩やかな下降傾向が認められ,鎮静状態が保てなくなるとmedian EEG frequencyが増減する傾向を示すことが確認された.また,周波数帯域別構成比による解析により,投与後初期のmedian EEG frequencyの著しい増加は,benzodiazepine誘導体に特有な速波の影響であることが判明した. 臨床でのmedian EEG frequencyの推移は,benzodiazepine誘導体投与により増加するが,鎮静効果の持続する間は一定の周波数を保ち,疼痛や鎮静効果の減弱した時期に応じて周波数のピークが生じた. 以上の結果から,特有な速波の影響があるものの静脈内鎮静法においても,精神鎮静が持続する間,median EEG frequencyは一定の周波数を示し,臨床においても精神鎮静,ストレスに応じた推移を示すことから,精神鎮静状態の指標としてmedian EEG frequencyは有用であると考えられた.
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