本研究は金属、セラミックス、レジン等の素材にLPD(Li quid Phase Deposition)法によってアパタイト被膜を形成し、新しい歯科用インプラント材を開発することを目的としている。 本年度はLPD(Liquid Phase Deposition)法によってアパタイトコーティングする基礎的検討をおこなった。まずこのアパタイト被膜を形成する化学種としてのカルシウム塩とリン酸塩の濃度およびこの化学種を安定化するキレート化剤を検討した。その結果次の知見を得た。 1.浸せき液の最適なカルシウム塩とリン酸塩のモル比は1.7であった。 2.キレート化剤としてIminodiacetic acidを使用したが、この有機酸の濃度が大きいほど被膜がきれいに形成された。 3.溶液に浸せき後、約1時間で被膜を形成する。 4.析出物はX線回折の測定の結果から非晶質成分の多いアパタイトであった。 5.今後の問題点として、基板に析出した被膜は非晶質成分の多いアパタイトであり、被膜強度の点で改良する必要がある。平成6年度はこのことを充分に考慮し、基板表面の前処理および被膜形成後の後処理の方法検討し、被膜強度の改良等を重点的に研究を行う。
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