研究概要 |
目的:羊に石丸・Gossの方法(International Journal of Oral and Maxillofacial Surgery,Vol21,P239-242,1992.)にて変形性顎関節症を作製した後、微細関節鏡(新興光器社製 FV-3000,MS-611S 直径1.1mm)を用いて関節腔内を鏡視し、これら関節鏡所見と病理所見と比較することにより、関節鏡により変形性顎関節症をどの程度正確に診断することができるのかを検討した。 方法:対象は羊20顎関節とし、変形性顎関節症を作製し6カ月後に全麻下にて関節鏡視を行った。関節鏡視は上関節腔とし、下顎窩および関節結節部の関節鏡所見を、(1)表面に平滑な線維性組織を認めるもの、(2)表面線維性組織がフィブリレーション状のもの、(3)骨の露出を認めるものの3段階に分類した。関節鏡視後に屠殺し、顎関節を一塊に摘出した後、矢状方向に切断し病理組織標本を作製した。病理所見については、(I)表面線維層が均一で平滑、(II)表面線維層が凹凸、(III)骨露出の3段階に分類した。両所見の比較には、それぞれの所見の最も進行した段階を選んだ。さらに円板及び円板後部結合組織の穿孔についても両所見間で検討した。 結果:両所見の一致を見たのは11関節(55%)であり、顎関節鏡によるoverdiagnosisは2関節(10%)、underdiagnosisは7関節(35%)であった。また関節鏡による穿孔の正診率は50%であった。以上より変形性顎関節症に対する関節鏡視診査の有用性が得られている。現在は関節鏡所見と病理所見の最終確認を終え、論文作製中である。
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