研究課題
形態面の研究としてはまず、3DCTを用いた3次元形態計測の手法を開発した。さらにこれを用いた形態評価のため、正常人の顎顔面形態のデータを採得し、形態の基準値を作成した。被曝の問題もあり、現在のところ成人男女20名に限られているが、骨格的に変形を来している顔面非対称症例の形態評価には十分有効であることが示唆されている。機能面の研究としては、顎変形症の外科手術前後の咬筋の筋活動パターンや、小児反対咬合の被蓋改善前後の咬筋筋活動に関して報告したが、今のところ日常臨床に役立てるレベルには達していない。筋機能の異常を評価するためには、正常状態のデータを分析し把握する必要があるが、これまでに正常者の咬筋全域にわたる左右側の筋活動のバランスや咀嚼筋機能の成長発育に伴う変化については研究されておらず、その詳細は不明である。そこで現在、我々はまず筋活動の左右差の把握のために、正常者に対して、咬筋全域にわたる筋活動のデータを採得している。筋電図の記録は表面電極を用い18ch(片側9ch)の多チャンネル筋電図により、機能時および非機能時の両側咬筋筋活動を同時に記録している。その結果、機能時においては、個人間によりパターンの違いはあるが左右側を比べると比較的類似しており、咬筋前中央部および中下方部で筋活動が高いことがわかった。また、咬合力が変化しても咬筋の筋活動パターンに変化はないことがわかった。非機能時においては咬筋は活動レベルは低く、筋活動パターンに一定した傾向は認められなかった。データの分析時間の短縮のために、本年度後半に分析機器を購入し、現在筋電図の分析のために従来より当講座で開発してきたシステムのハードウエアに組み込む作業を行っている。
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