成長期の小児に対してその咀嚼能力の発達を促進しうる可能性はあるのか、あるとすればどのような点においてあるのかを研究の目的として今年度は以下の実験を行ってきた。すなわち、幼稚園児10名を被験者として選び、硬さを特別硬めに調整した特製ガムを使用して咀嚼訓練を行った。訓練は毎日2回、各々5分間噛むことである。咀嚼訓練の開始に先立ち、幼児の最大咬合力、筋活動及び下顎運動様態を記録し各々のコントロールとした。訓練開始後3カ月で最大咬合力は約2倍に増加した。また、筋肉の活動量を筋電図の波形で観察すると、訓練前より筋活動がより活発になされていることが判明した。本研究の結果の一部は、1994年2月3日マニラ(フィリッピン)で行われた第17回アジア太平洋歯科大会の学術発表セッションにて報告された。
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