成長期の小児に対してその咀嚼能力の発達を促進しうる可能性はあるのか、あるとすればどのような点においてあるのかを研究の目的として今年度は以下の実験を行ってきた。すなわち、幼稚園児を被験者として選び、硬さを特別硬めに調整した特製ガムを使用して咀嚼訓練を行ってきた。訓練は毎日2回、各々5分間噛むことである。咀嚼訓練の開始に先立ち、幼児の最大咬合力、筋活動及び下顎運動様態を記録し各々のコントロールとしている。前年度は被験児10名をもって実験を開始した。今年度はこれに加えて、昨年度からの被験者の訓練を継続し1年後の結果を得ることと、被験者数を20名程度に増加させ統計的により意義のある結果を得ることを目的として実験を行ってきた。 現在のところ、前年度から継続している被験者のうちで数名の被験者が転居等の理由で継続中止になっているが、今年度新たに実験を開始した被験者もあり、被験者の総数は結果的には増加した。また、実験の結果では、咬合力の有意の増加と増加した咬合力のレベルがその後も維持されていることが観察されている。この結果は、1996年1月にインドのボンベイにて行われる第18回アジア太平洋歯科大会にて発表の予定である。
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