Symphysisの成長発育様相を明確にするために、小学校1年から中学校3年までの9年間にわたって採得された、女子20名、男子19名の側面頭部X線規格写真と、同時期に得られた身長の測定記録を用いて以下の分析を行った。すなわち、オトガイ点Meを基準にsymphysisを唇側骨表面で重ね合わせ、比較的安定性の高い部位を見出し、symphysis height(以下、SHと略す)の成長と、身長との関連性を調べた。その結果、次のような結論を得た。 1.各個体毎にsymphysisを経年的に重ね合わせたところ、39例中35例(89.7%)において少なくとも点Meから点Pmまでが重なり合った。 2.35例の中には、Pm点よりも上部まで重なり合うものがが半数近く存在した。 3.SHの平均成長速度曲線と思春期性成長ピークを基準に、Tannerの方法により求めた平均個成長速度曲線における思春期性成長のピーク期は、男子において同時期であったが、女子においては後者の方がおよそ1年早く現れた。すなわち、従来の平均成長速度曲線では、男子が12.1歳、女子が12.3歳でそのピークを迎えていた。しかし平均個成長速度曲線では男子12.1歳、女子11.4歳にそのピークを迎えていた。 4.各個体のSHと身長の思春期性成長のピーク期を工藤らの方法に準じて求めた後、男女別にその時期を算定したところ、平均個成長速度曲線では、SHの思春期性成長のピーク期は、男女とも身長のそれとほぼ一致した。すなわち、男子における身長の思春期性成長のピーク期は12.3歳、SHのそれは12.1歳であった。また女子におけるピーク期はそれぞれ11.6歳、11.4歳であった。
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