研究課題/領域番号 |
05671733
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
久芳 陽一 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (90131862)
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研究分担者 |
小笠原 靖 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (60160735)
副島 嘉男 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (50154696)
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キーワード | 幼若永久歯 / 外傷 / 歯髄 / 歯髄の狭窄 / 神経染色 / ラット |
研究概要 |
小児歯科臨床において、歯牙の外傷はしばしば経験されるものである。特に幼若永久歯の外傷においては、歯髄の狭窄、石灰化など起こすものもあり、その後、全歯髄腔を閉塞するまで続くこともある。また、このような歯髄腔狭窄は歯内療法を困難にすることも考えられる。しかしながら、外傷に関する研究のほとんどは、歯根や歯根膜の再生など歯周組織についてであり、外傷による歯髄の変化についての検索は皆無である。 そこで今回ラットを用いて、根未完成歯に不完全脱臼をおこさせ、歯髄の変化、特に歯髄に豊富に分布する神経線維への影響について検索したので報告する。 実験には4週齢のWistar系雄ラットを用い、上顎左側第1臼歯をラット用に改良したマイナスドライバーとクレンザ-鉗子を使用して動揺させ、遠心歯頚部を歯肉縁上に約1mm挙上させて不完全脱臼を行った。直ちに歯牙を歯槽内に戻し、止血を行い実験群とした。実験終了後、1日、3日、7日、14日、30日、60日に屠殺し、直ちに上顎を摘出、神経染色固定液に浸漬固定を行った。 ギ酸脱灰後、通法によりパラフィン包埋し近遠心断による5〜6μの連続切片標本を作製し、ヘマトキシリン・エオジン染色、および尿素硝酸銀法による神経染色を施し鏡見した。 ラット根未完成歯の不完全脱臼の歯髄では1日目、3日目までに神経線維の染色性の低下や数の減少が多く見られたが、比較的明瞭にみられるものもあった。術後7日以降は根部歯髄ではほとんどの例で神経束が比較的明瞭にみられた。歯冠部歯髄でも神経線維はみられたが、その数は全体的に少ない傾向が伺われた。術後60日で歯髄腔が強く狭窄された症例においても神経線維が比較的明瞭にみられたことから脱臼の神経への影響は比較的少ないことが伺われた。
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