研究課題/領域番号 |
05671766
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研究機関 | 共立薬科大学 |
研究代表者 |
望月 正隆 共立薬科大学, 薬学部, 教授 (10072414)
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研究分担者 |
堤 のぞみ 共立薬科大学, 薬学部, 助手 (00255382)
石川 さと子 共立薬科大学, 薬学部, 助手 (70223518)
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キーワード | 環境内発がん物質 / N-ニトロソジアルキルアミン / シトクロムP-450モデル / ポルフィリン金属錯体 / 代謝活性化 / 突然変異原性 / 脱アルキル化反応 / Salmonella typhimurium YG7108 |
研究概要 |
環境内発がん物質であるN-ニトロソジアルキルアミンの代謝活性化の分子機構解明には、化学的なアプローチが可能であるという点で、酵素系ではない純粋な化学触媒系を用いることが有用であると考えられる。そこで本研究では、N-ニトロソジアルキルアミンの代謝活性化をポルフィリン金属錯体と酸化剤によるシトクロムP-450の化学モデル系を用いて再現することを試みた。また、代謝活性化系としてモデル系を用いた突然変異原性の検出が可能であるか検討した。 1.テトラフェニルポルフィリン鉄錯体およびその誘導体と各種酸化剤を用いたモデル系において、N-ニトロソジアルキルアミンのalpha-水酸化に由来した脱アルキル化反応を追跡し、反応条件の検討を行った。その結果、以下の傾向があることがわかった。1)モデル系におけるN-ニトロソジアルキルアミンの脱アルキル化反応は溶媒効果を強く受け、アセトニトリルを用いた系で良好に進行した。2)ポルフィリン金属錯体には、メソ位フェニル基の水素をすべてフッ素に置換したテトラキス(ペンタフルオロフエ ニル)ポルフィリン鉄錯体を用いた系で最も触媒率が高く、これはポルフィリンの安定性と立体効果に起因するするものと考えた。3)酸化剤はヨードソベンゼンを用いた系で顕著に反応が進行した。以上の結果は、3級アミンであるN,N-ジメチルアニリンの脱アルキル化反応とは傾向が異なった。 2.細菌の突然変異を指標した変異原性試験において、S9mixの代わりにポルフィリン金属錯体/酸化剤を使用したモデル系を用い、N-ニトロソジアルキルアミンの変異原性の検出を試みた。テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン鉄錯体およびtert-ブチルヒドロペルオキシドの存在下、N-ニトロソジアルキルアミン(アルキル=メチル、エチル、プロピル、ブチル)のSalmonella typhimurium YG7108株に対する変異原性が発現した。この変異原活性は、プレインキュベーション時間およびN-ニトロソジアルキルアミン濃度に依存した。この結果は、N-ニトロソジアルキルアミンの代謝活性化をモデル系において再現できたことを明確に示した。
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