研究概要 |
Grayanotoxin XIを標的化合物とし、その全合成法の開発を目指し種々の検討を行い以下の結果を得た。 1.3,5-ジメトキシ安息香酸よりC環に相当するシクロヘキセノン誘導体をラセミ体として合成する方法を開発した。さらに、このラセミ体をリパーゼを用い、光学分割することによりC環部に相当するエノンを光学活性体として得ることに成功した。 2.光学活性な(-)-パントイルラクトンを出発原料とし、8工程を経てA環部に相当するシクロペンテノン誘導体を光学活性体として合成する方法を確立した。 3.1.により得たC環に相当するシクロヘキセノン誘導体のリチウムエノラートとalpha-ブロモアクリル酸エチルとを反応させたところ連続Micheal置換反応が進行し、トリシクロ〔3.2.1.0^<2.7>〕オクタン誘導体を立体選択的に合成することに成功した。 4.3.により得たトリシクロ〔3.2.1.0^<2.7>〕オクタン誘導体をエステルに誘導後、エノラートとし、2.により得たA環部に相当するエノンに反応させたところMicheal反応が進行し、grayanotoxinのA環及びC/D環部に相当する環構造を有する化合物を合成することに成功した。 今後、A環のケトンとB環相当部のアルデヒドとの還元的カップリングにより7員環であるB環を形成した後、酸処理によりC/D環相当部のフラグメンテーション反応を行いC/D環部を構築し、分子内レトロアルドール反応及びアルドール反応によりC環水酸基の反転、B環のエキソメチレンの構築、保護基の脱保護などによりgrayanotoxin XIを合成する計画である。
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