研究概要 |
ジルコノセン等価体より得られるジルコナシクロプロパンbeta一位アルコキシル基の脱離反応の継続として、不飽和アルデヒドのアセタールとの反応によるアルコキシアリルジルコニウム類の発生につき検討し、続くアルデヒド類との反応により1,2-ジオール誘導体の選択的合成につき検討を加えた。その結果、出発物であるアリルアルコール誘導体の置換様式によってはアルデヒドホモエノレートアニオン等価体として反応することを明らかにした。アリルジルコニウム活性種とアルデヒドとの反応を分子内反応へと応用した。即ち、5-あるいは6一位にビニル基を有するgamma-あるいはdelta-ラクトールの各種糖誘導体より合成したアセタール化合物にジルコノセン等価体を反応させ環縮小を伴う反応により高立体選択的に光学活性なシクロブタノールあるいはシクロペンタノール誘導体を合成した。反応機構についても反応中間体の単離からオキソカルベニウムイオンへのZ-アリルジルコニウム種の付加反応であることを明らかにした。以上の反応の応用としてオキセタノシンの糖部のcarbocyclicアナログの効率的な合成を達成した。また、ジルコノセンとの反応から得られた知見を基にV族遷移金属元素であり低原子価化合物が入手可能または容易に合成可能なニオビウム(Nb)の塩化物につきアリルアルコール誘導体との反応を検討し容易にカップリング反応が効率良く進行することを明らかにした。さらに本反応を同一分子内にアリルアルコール部位および遠隔位に不飽和結合を有する化合物を用い分子内環化反応を試み、その結果アリルラジカルの5-exo環化が進行することを明らかにした。
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