平成6年度は、リポソームの取込機構が細胞内運命とどのように相関しているかについて検討した。リポソームの細胞内運命は、^<125>I-アルブミン法を用いて細胞内分解過程を定量的評価を行った。トレイサ-レベルの^<125>I-アルブミンを各種のリポソームに封入し、インタクトな^<125>I-アルブミンとその分解物の分離定量はTCA沈殿法により行なった。ラットの腹腔マクロファージを用いた系において、リポソームの細胞内分解過程に速い分解過程と遅い分解過程の速度論的に識別可能な二種類の速度過程が観察された。この方法をin vivo実験へ拡張するために、リポソームを^3H-cholesterylhexadecyletherと^<125>I-アルブミンでダブルラベルすることにより、取込んだリポソームに対するインタクトなリポソームの割合を定量的に評価する方法を確立した。その結果、分解過程に関する不均一性は、in vivoにおいても確認された。リポソームの平均粒子径を200-800nmに変化させ、二種類の取込経路を介してリポソームを肝臓へ取込ませたところ、分解過程にその影響は見られず、共通の細胞分解過程を辿っている可能性が示唆された。一方、リポソームの投与量を2-200μmol/kgと変化させたところ、遅い分解過程のみが観察された。この現象が細胞内の輸送過程と分解過程のいずれの変化に起因しているのか現在検討中であるが、リポソームの投与量の変化に応じて細胞内運命が変化していることが明らかとなった。
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