研究概要 |
過シュウ酸エステル化学発光検出フローインジェクション法を用いて血小板活性化因子(PAF)やホスファチジルコリン等のコリン含有リン脂質を定量するための基礎的検討を行った。本分析法の原理はホスファチジルコリンやPAFを基質とし、ホスホリパーゼDの加水分解で生じるコリンを、コリンオキシダーゼで更に過酸化水素まで分解し、生じた過酸化水素を過シュウ酸エステル化学発光検出により測定するものである。まず、ホスホリパーゼDとコリンオキシダーゼの混合物をアルキルアミンガラスビーズ(CPG1Aminopropyl)にグルタルアルデヒド法で固定化した。調製した固定化酵素はステンレスチューブ(70x2mm,i.d.)に充填し、カラムリアクター(IMER)として使用した。フローインジェクションシステムは過酸化水素の化学発光検出に最適な条件を用いて検討した。その結果、キャリアー溶液には10mM硝酸コバルト及び0.1%Triton-Xを含むイミダゾール緩衝液(10mM,pH8)を用い、これに試料を注入後、IMERを通し、次いで化学発光試薬(0.4mMTCPO+0.5mMTMP in acetonitrile,50/50,v/v)と混和させ生じる発光を測定することにした。なお、流速はいずれも1mL/minとした。本法を用いてリン脂質及びPAFの検量線を作成した結果、ホスファチジルコリン、ホスファチジルコリン(C14:0)、リゾホスファチジルコリン及びPAFはいずれも少なくとも200pmol/注入量までは良好な直線性を示した。それぞれの検出下限は1.84,1.76,7.69及び8.7pmol(S/N=2)と高感度であった。また、同時に検討したコリン及びアセチルコリンの検出下限は600及び640fmol(S/N=2)であった。現在、リン脂質をHPLC分取後、本法で定量する方法を検討中である。
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