1.電極表面に酸化第二銅が存在すると、強塩基性条件下で糖類は効率よく電解酸化されることを明らかにした。この知見を基に、カーボンペースト基材に電着させた銅薄膜を電解酸化した酸化第二銅修飾カーボンペースト電極、および銅電極表面を空気および電解により酸化した酸化第二銅修飾銅電極の作成法を確立した。 2.酸化第二銅修飾電極を用いた電解酸化において、キシロース、グルコース、ソルビトールはそれぞれ10、12、14電子移動により、5、6、6分子のギ酸に酸化されることを明らかにした。また、電解生成物による吸着阻害は観測されなかった。このような電気化学的多電子酸化反応の実現は、高感度定電位アンペロメトリーの実現を裏付けるものである。 3.このした糖類の電解酸化反応において、糖類の水酸基の存在が必須であることを明らかにした。一方、この反応はアミノ酸に対しても酸化活性を有することがわかった。これらの事象を統合し、酸化第二銅が関与した表面触媒反応機構の概略を明らかにした。 4.酸化第二銅修飾電極を高速液体クロマトグラフ系に適用したところ、グルコースを例にとれば、10mu1注入時において、検出限界サブピコモルレベルの高感度直接検出を実現した。 5.今後は、この電極の長期安定化のための更なる条件検討と、本触媒反応における糖類とアミン類の至適pHの違いを利用した両者の分別検出法を開発することが重要な課題であると考えている。
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