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1993 年度 実績報告書

低スピンヘム錯体の軸配位子の水素結合・電子状態依存性とg主値の重水素同位体効果

研究課題

研究課題/領域番号 05671791
研究機関帝京大学

研究代表者

佐藤 三男  帝京大学, 薬学部, 教授 (70101714)

キーワード低スピンヘム錯体 / 低スピンヘムのESR / g主値の同位体効果 / 軸配位子の水素結合 / 重水素同位体効果
研究概要

軸配位子が水素結合した例スピンヘム錯体Fe(TPP)(OMe…LOMe)_2^-(ただし、TPP=テトラフェニルボルフィン,L=HorD)のg主値は77および20kでESR測定したところ、L=HとL=Dの間で有意の差が認められた。
L=H(20K);g_x=1.9134,g_y=2.1654,g_z=2.4949,
L=D(20K);g_x=1.9146,g_y=2.1643,g_z=2.4917,
g主値の解析結果は、d軌道のエネルギー分裂および励起Kramers二重項への遷移エネルギーはL=Dの方がL=Hの方より大きく、OMe…LOMeの水素結合は基底状態よりも励起状態の方が強いこと、を示した。このことは、軸配位原子MeO上の電子密度は励起状態の方が基底状態に比べて増大していることを意味し、低スピンヘム錯体の電子構造と矛盾しない。励起Kramers二重項においては、d_<yz>,d_<zx>軌道の電子密度が増大しているからである。
なお、低スピンヘム錯体Fe(TPP)(OMe…LOMe)_2^-の生成反応
Fe(TPP)(OMe)+MeO^-+2MeOL=Fe(TPP)(OMe…LOMe)_2^-
において、非常に大きな重水素同位体効果(K_D/K_H=5〜6)が観測された。この同位体効果は、基底電子状態における水素結合のゼロ点振動レベルの反応原系と生成系との差違を反映するので、さらに詳細な測定を計画中である。
平成5年度の研究目的の主要部分は達成されたと評価している。特に、g主値に対する同位体効果の測定は、広く金属錯体のESR文献を参照してみても、従来報告されていない課題であり、同位体効果の測定とその解析自体に物理化学的意義があると考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] N.Kobayasi: "Synthesis and Spectroscopic Properties of Symmetrically Tetrasubstituted Phthalocyanine" lnorg.Chem.32. 1803-1808 (1993)

  • [文献書誌] T.Ohya: "Spin Relaxation in High-Spin lron(III)Complexes of Tetraphenylporphine" Nucl.lnstrum.Methods. B76. 313-314 (1993)

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公開日: 1995-03-23   更新日: 2016-04-21  

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