研究概要 |
向流クロマトグラフィー(CCC)とヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーの組み合わせにより,ヒト血清から高密度,低密度,超低密度リポ蛋白質(HDL,LDL,VLDL)のクラス分離を検討した。 交差軸型向流クロマトグラフ(X-axis CPC)のカラムにpolyethylene glycol(PEG)1000とリン酸カリウム緩衝液(KPi)からなる水性二相系の上層を充填し,ヒト血清約4mlを注入後,カラムを500rpmで回転させながら,KPi-richな下層で溶離した。HDL-LDL画分が溶出した後,移動相を上層に変えると,血清蛋白質とVLDLが溶出した。ついで,HDL-LDL画分を濃縮し,Bio Gel HTP DNA grade ヒドロキシアパタイトカラム(5.0cm×2.5cmI.D.)からKPiで2段階溶離(75mM,290mM)するとHDLとLDLとに相互分離できた。また,VLDL-血清蛋白質画分は同じカラムから290mM,650mM KPiで溶離するとき,VLDLとアルブミン,グロブリン等の血清蛋白質とに分離できた。このように,向流クロマトグラフィーと他のクロマトグラフィー系の組み合わせによる蛋白質を分離した例は初めてである。 一方,DNA結合蛋白質であるH-NSの分離に関しては,大腸菌にH-NSを大量発現させて,従来のカラム液体クロマトグラフィーで精製したH-NSを用いて,まず分配係数を水性二相系中で測定した。PEG 1000,2000,4000,8000-KPiの系ではいずれもH-NSは下層に分配され,上層を固定相に用いるCCCではカラムに保持されず,solvent frontに溶出する。現在,PEG-dextran系の水性二相系を用いるCCCで大腸菌ホモジネートからのH-NSの精製を検討中である。
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