1)既時型アレルギーの担い手細胞である肥満細胞を、IgE抗体と抗原で刺激したところ、処理2分後に細胞内のcPLA2活性が未処理細胞の約3倍に上昇し、5分後にはコントロールレベルに戻った。この上昇はリン酸化酵素阻害剤スタウロスポリンで処理することにより消失した。また、免疫沈降でcPLA2タンパクのリン酸化の有無を調べたところ、分子量約85KのcPLA2が刺激2分後にはたしかにリン酸化されるが、5分後に脱リン酸化されることを見いだした。この経時変化はロイコトリエンC4産生の経時変化と一致した。これらの結果は、抗原抗体激した肥満細胞ではcPLA2がリン酸かされ活性化することを示唆しており、遺伝子増幅していない細胞で、刺激連関でcPLA2が活性化することを示した最初の例である。 2)肥満細胞を長時間抗原抗体刺激し、cPLA2の量を免疫的に調べた。刺激10時間から30時間でcPLA2量が数倍に増加することを観察した。このことは、抗原抗体刺激で肥満細胞がプライミングされ、アラキドン酸カスケードを作動しやすいように成っていることを示唆している。 3)肥満細胞が放出すること、あるいは肥満細胞に作用すると脱顆粒反応を惹起することが解っているII型PLA2で、培養肥満細胞を刺激したところ、濃度依存的にIP3産生が惹起された。これら、II型PLA2がリガンド的に作用することを示唆している。
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