フェノバルビタール誘導性CYP2BsubfamilyP450誘導機構を解明するための一環として、ラットとモルモットにおける著しい種差に注目して研究を進めた。すなわち、ラットとモルモットでは、薬物未処理動物におけるCYP2BP450の発現量が大きく異なるが、これは遺伝子5'-上流の〓Barbie Box〓配列(15塩基から成る)と核タンパクとの結合量が両動物種で全く異なるためではないかとの作業仮説を立て、この検証を試みた。具体的には、^<32->P標識したBarbie boxと核タンパクとの結合をゲルシフトアッセイで調べた。その結果、上記の予想は実験的に裏付けられ、未処理ラット肝核抽出物では全く結合が認められないのに対し、モルモットでは結合が認められた。この違いは、両動物におけるCYP2BP450発現量の差(モルモット>ラット)と相関していた。また、この事実はBarbie boxと核タンパク質との結合が正の転写制御因子として働いていることを強く示唆するものでもあった。本研究では、更にモルモット核タンパク質の精製を試み、これを純粋に単離した。精製タンパク質のN-末端アミノ酸配列を分析し、既報のものと異同を検索したが、同一配列を持つものはまだ報告されておらず、新型のものであることが明かであった。次年度は、このタンパク質の細胞内分布や機能について検討を拡大する予定である。 これらの成果は、一部第66回日本生化学会(平成5年10月、東京)にて発表したが、まだ学術雑誌には発表していない。現在投稿準備中であり、本年度末までには公表する予定である。
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