研究概要 |
1.CYP2BサブファミリーP450の誘導機構を解明するための一つのアプローチとして、ラットとモルモットにおける誘導性の顕著な差に注目し研究を行った。具体的には、“遺伝子上流に存在するBarbie box配列と転写制御タンパク質との結合性が両動物で異なることが、誘導性の違いに反映されている"という作業仮説を設け、これを実証すべく研究を進めた。 2.ラット肝核抽出物とBarbie boxとの結合は、未処理動物では微弱であるが、動物を誘導剤フェノバルビタールで前処理すると著しく増大した。対照的に、モルモットでは、動物前処理の有無にかかわらず同程度の結合が認められた。従って、Barbie box-核タンパク質結合のフェノバルビタールに対する応答性はラットとモルモットで大きく異なることが実証され、上記1の推定が支持された。 3.Barbie boxと肝核タンパク質の結合に及ぼす種々の因子の効果を調べ、その程度を両動物で比較した。その結果、Hemin添加効果、protease前処理効果及び加熱前処理効果等においてラットとモルモット間に違いが認められた。 4.核抽出液中よりBarbie box結合性タンパク質の精製を行い、モルモットより1種(BBBP‐GP)を純粋に単離することに成功した。BBBP‐GPは電気泳動より算出した最小分子量が約27,000であり、アミノ末端配列の分析結果より新種のタンパク質であることが明かであった。
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