研究概要 |
Communication boxによる身体的侵襲のないストレス負荷(心理的ストレス)によって〓鎮痛効果が発現し、〓同時投与したモルヒネの耐性形成が抑制された。〓は他の鎮痛検定法であるホルマリン試験法でも検出できた。ベンゾジアゼピン系のジアゼパムのほか、新規抗不安薬で5-HT系のブスピロン、リタンセリン、y-25130も、心理的ストレスによるこれらの反応を遮断したが、抗不安作用のないピンドロール、抗うつ薬イミプラミン、抗精神病薬チアプリドは影響しなかった。また、身体的侵襲を伴うfootshockストレスでは、〓,〓に対する抗不安薬の遮断効果はみられなかった。したがって、心理的ストレス反応の遮断を指標とした本法が、従前の煩雑な抗不安薬スクリーニングに代わる特異的、かつ、新しいスクリーニング法として有用であることが示された。抗不安作用のないオピオイド拮抗薬による遮断効果については次年度に検討したい。一方、心理的ストレスとU-50,488Hによるモルヒネ耐性形成の抑制にはいずれもオピオイドk受容体機構が関与するとされるが、後者による耐性形成の抑制はピンドロールで消失するなど相違も示された。このように心理的ストレスの効果の発現を単一の機構で説明するのは難しく、目下鋭意検討中であるが、抗不安薬による拮抗および高架式十字迷路試験の成績から、GABA/BZPおよび5-HT系の変容、すなわち不安・恐怖の発現が主たるものと推察される。さらに、ホルマリン足蹠投与による持続疼痛マウスでもモルヒネ耐性形成が遅延し抗不安薬はこの遅延効果を消失させたことから、ここでも耐性形成の抑制に不安の関与が示唆された。一方、依存形成薬の精神依存形成能に対するストレスによる情動の影響を条件場所嗜好性試験で検討し、心理的ストレスがモルヒネの強化効果を増強することなど基礎的な実験成績を得た。
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