研究課題/領域番号 |
05671835
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
竹石 桂一 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (90012608)
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研究分担者 |
堀江 信之 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助手 (70209287)
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キーワード | チミジル酸合成酵素 / ヒト遺伝子 / 転写制御 / プロモーター / サイレンサー / CATアッセイ / 核内因子 |
研究概要 |
ヒトチミジル酸合成酵素(TS)遺伝子のプロモーターは、翻訳開始点の上流約360塩基対より下流の領域に存在することがすでに確認されていたが、CAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)アッセイによってプロモーター活性を示す配列の明確な特定は、その活性が極めて弱く困難であった。その後、その領域にサイレンサー活性を示す配列が存在することを見出だし、それを削除すると十分なプロモーター活性を示すことが判明した。 本研究においては、主要な転写開始点の上流域及び下流域について、それぞれ多くの欠失変異体を作製し、それらのプロモーター活性をCATアッセイで測定することにより、プロモーターエレメントを詳細に解析した。その結果、ヒトTS遺伝子のプロモーター活性に必須の2つのエレメントが転写開始点の上流に存在すること、しかもそれらは互いに独立して機能することが明らかになった。また、転写開始点の下流域について解析した結果、そこに存在する特異な繰り返し配列の大部分を欠失させると、上述のプロモーターエレメントが存在するにもかかわらずプロモーター活性が消失することから、この領域もヒトTS遺伝子の発現に不可欠であることが示された。一方、すでに翻訳開始コドンの近傍に結合する複数の核内因子も見いだしている。これらの知見からヒトTS遺伝子の発現は、転写開始点の上流及び下流の領域に存在する、しかも正と負に作用する複数のエレメントによって高度に制御されていることが示唆された。今後、本研究で判明したプロモーターエレメント及びそれらにシスで働く配列に対してトランスに作用する因子の確認とそれらの役割の解明が、ヒトTS遺伝子の発現調節機構を明らかにする上で重要な課題である。
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