免疫応答の方向性は2種類のヘルパーT細胞(Th1とTh2)の産生するサイトカインによって決められている。細菌内毒素(LPS)に不応答性を示すC57BL/10ScCr(B10Cr)脾細胞をConA刺激した時IFN-gamma産生は、LPSに応答性を示すC57BL/10ScSn(B10Sn)脾細胞のと比べ著しく低かった。そこで、T細胞レセプター(TcR)を介してThlとTh2細胞を刺激した時の両者のサイトカイン産生能の違いについて検討した。抗CD3抗体、抗TcRalphabeta抗体、細菌性スーパー抗原(SEA)でTcRを介して両者の脾T細胞を刺激した時のサイトカイン産生は、主としてTh1細胞の活性化が起きていることが示された。また、TcRを介して活性化された場合にもB10CrT細胞のIFN-gamma産生はB10Snのものより有意に低かった(論文準備中)。これはTh2細胞の選択的活性化によるものでなく、B10CrTh1細胞の低IFN-gamma産生性は抗原提示細胞を介したpositivefeedbackの過程で何らかの制御があるのではないかと考えており、次年度に検討する。また、Ovalbuminで抗原刺激した時のリンパ節でのサイトカイン産生は1次応答ではTh1細胞の、2次応答ではTh2細胞の選択的活性化が起きたが、羊赤血球で抗原刺激した時には1次応答でもTh2細胞の活性化が起きることも分かった(投稿中)。今後、腸管上皮リンパ球など他のリンパ組織でのサイトカイン産生のメッセージをRT-PCRで測定するための準備を行った。
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