研究概要 |
海洋細菌Alteromonas sp.0-7株のキチン分解酵素の触媒機構、構造と機能の相関性および酵素発現における制御機構を明らかにする目的で、これまでにキチン分解系に関与する種々の酵素遺伝子をクローニングしてきた。平成5年度は、本菌の2種類のキチナーゼ(ChiA,B)および4種類のN-アセチルグルコサミニターゼ(ChtA,B,C,D)遺伝子のうち、chiA,chiBおよびchtCの塩基配列を決定し、それから推定されるアミノ酸配列を明らかにした。ChiAについては、微生物由来および植物のクラスIIIキチナーゼにおいてよく保存されている領域が触媒機能に必須であることを見い出し、更にその領域における触媒残基(Asp-290,Glu-292)ならびに3次構造を維持する上で必要と思われるアミノ酸残基(Ser-248,Gly-200,Gly-251)を明らかにし、すでに報告した。一方、N-アセチルグルコサミニダーゼのうち、ChtBは、Vibrio harveyi由来のキトビアーゼおよびヒトの遺伝病(Tay-Sachs病,Sandhoff病)の原因であるbeta-ヘキソサミニダーゼのalpha,betaサブユニットと相同性を示すことを認めた。また、これらのタンパク質の間で特によく保存されている領域があり、ChtCもその領域においては相同性を示した。興味深いことにこの領域には触媒残基と思われるAspおよびGluが、現在までに報告されているすべてのタンパク質(6種類)に保存されていることを見い出した。現在これらのアミノ酸残基の機能をsite-directed mutagenesis法により検討している。
|