研究概要 |
本年度は,Alteromonas sp. O-7株のキチン分解系に関与するキチナーゼ(ChiA, B, C, D, E)とN-アセチルグルコサミニダーゼ(GlcNAcaseA, B, C)のうち,すでに塩基配列が明らかにされたChiA, ChiCのドメイン構造,およびGlcNAcaseBの触媒アミノ酸残基について検討した.その結果,ChiAは,signal peptide, chitin binding domain, catalytic domainおよびキチンのみならずセルロースなどに結合性を有するユニークなドメイン(CBD)から構成され,一方,ChiCは,signal peptide, CBD, fibronectin typeIII domain およびcatalytic domainから成ることを明らかにした.キチン存在下において,本菌から産生されるすべてのキチナーゼは,キチンに結合した状態で存在していることから,CBDがキチン分解において重要な機能をしているものと思われる.現在,CBDを産生する発現系の構築に成功し,その構造と機能の相関性について検討している. GlcNAcaseBのアミノ酸配列の中央部に,ヒトから微生物までよく保存された触媒機能に重要であると思われる領域が存在すること認めた.そこでその領域に保存されたアミノ酸残基を他のアミノ酸に変換することにより,22種類の変異酵素を作成した.その結果,Asp-316およびAsp-348が触媒残基として機能しているものと推定した.現在,それらの変異酵素の速度論的解析を行っている.
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