研究課題/領域番号 |
05671870
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 重雄 京都大学, 薬学部, 助教授 (30115878)
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研究分担者 |
上硲 和輔 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (60085280)
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キーワード | ウリ科 / ヘチマ / 植物細胞培養 / トリテルペン / ブリオノール酸 / 配座解析 / 抗アレルギー活性 / 構造活性相関 |
研究概要 |
ヘチマ培養細胞が産生するブリオノール酸(BA)誘導体のうち、コハク酸エステル(BS)は、I型アレルギーの実験モデルであるマウス受動皮膚アナフィラキシ-に対し50%抑制量(ID_<50>)が55mg/kg(i.p.)と高い活性を示した。そこで、BSの29位を-CH_3、-CH_2OH、-COH(CH_3)_2に置換してD、E環のコンホメーションの異なる誘導体を合成し、抗アレルギー活性の強さと立体構造との関係を比較した。29位のアルコール体がID_<50>=50mg/kgとBSに匹敵する強い活性を示すのに対し、29-CH_3、29-COH(CH_3)_2誘導体は、ID_<50>が400mg/kg以上といずれもほとんど抗アレルギー活性を示さなかった。NMRで構造解析した結果、BSはFold(F)型のコンホメーションを、29-CH_3、29-CH_2OHはF型とStretch(S)型がほぼ1:1の平衡状態を、29-COH(CH_3)_2誘導体はS型をとっていることが判明した。これらのことから、活性発現にはD、E環がF型のコンホメーションで、29位に酸素原子の存在が重要であると推察された。一方、ブリオノール酸(BA)の3位の水酸基に関しては、3α体と3β体がほぼ同等の活性(約370mg/kg)を示したのに対し、ケトン体の活性は3β体の約2倍に増大した。また、培養細胞中の微量成分である7、9位ジエン体からコハク酸エステルを合成し、その抗I型アレルギー活性を検討したところ、BSの活性に比べ半減することが明らかとなった(ID_<50>=92mg/kg)。この結果は、B、C環のコンホメーションも活性増強に重要な因子であることを示唆している。
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