研究概要 |
東洋の伝統薬として、美肌、鎮咳、浮腫に使用されてきたウリ科植物のヘチマから誘導した培養細胞が、特異なトリテルペン成分ブリオノール酸(3β‐hydroxy‐D:C‐friedoolean‐8‐en‐29‐oic acid)を多量に産生することに注目し、本化合物の抗アレルギー試験を実施した。ブリオノール酸は経口投与で気管支喘息、花粉症、蕁麻疹、接触性皮膚炎等の病態モデルに対し、スペクトルの広い抗アレルギー活性を示し、しかも偽アルドステロン症などの副作用を全く示さないことが判明した。そこで、本化合物の29位の官能基をtrigonal,tetrahedralに改変し、DE環のコンホメーション(Folded型、Stretched型、あるいは平衡型)の異なる種々の誘導体を立体設計して、活性増強と吸収改善を図った。その結果、市販のアレルギー疾患治療剤であるリザベンより抗アレルギー活性が経口投与で10倍以上強く、かつ作用スペクトルの広い化合物(29位カルボン酸、3位コハク酸エステル、BS)を得ることに成功した。BSは主としてFolded(F)型のコンホメーションを、29‐CH_3体とCH_2OH体は、F型とS(Stretched)型がほぼ1:1の平衡状態を、29‐C(OH)(CH_3)_2体はS型をとっていることから、抗アレルギー活性の発現にはD,E環がF型のコンホメーションで29位が酸化されていることが重要であると推察された。また、新規活性物質を創出する目的で、植物培養細胞による24位の特異的水酸化反応を検討した。
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