1.シクロスポリンA(CyA)に類似の物理化学的性質を有するモデル薬物ズダンブラックSBを用いて各種の修飾リポゾームを調製し、ラットにおける体内動態を調べた。 卵黄リン脂質およびSBからなるマルチラメラリポゾームを凍結乾燥法により調製した後、リンパ移行性を付与する目的でβ-glucanの多糖や生体粘着性ポリマーを用いて修飾を行った。ラットの頚静脈よりインフュージョンポンプを用いて定速注入により投与を行った。注入終了時に全血採血するとともに、肝臓、腎臓、心臓、脾臓を採取し、各臓器へのSBの移行性について検討した。多糖修飾リポゾームではリンパ系細胞の多く分布する臓器へのSBの移行に改善はみとめられなかったが、Carbopolを用いて修飾を施した生体粘着性リポゾームにおいては、肝臓、脾臓へのSBの分布が上昇するとともに、腎臓への移行性に低下がみとめられた。 2.生体粘着性リポゾームによるシクロスポリンA(CyA)のリンパ移行性の改善 SBを用いる実験結果に基づきリンパ指向性を有するリポゾーム製剤を調製し、CyAを封入した。ラットを用いて体内動態を検討したところ、肝臓および脾臓へのターゲッティングがみとめられるとともに、循環血流中における滞留性にも改善がみとめられた。
|