研究課題/領域番号 |
05671889
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研究機関 | 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 |
研究代表者 |
山田 裕一 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 遺伝学部, 主任研究員 (70191343)
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研究分担者 |
後藤 治子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 遺伝学部, 専門員
子笠原 信明 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 遺伝学部, 部長 (00090415)
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キーワード | AMPデアミネース / 酵素欠損 / 遺伝子 / 変異 / スクリーニング |
研究概要 |
この研究ではヒト赤血球型AMPデアミネース欠損の遺伝子変異を同定し、変異遺伝子のスクリーニングを世界的に行い、遺伝子変異の種類や変異遺伝子の頻度、分布などを明らかにすることを最終目標とし、またこれらの検討を簡便かつ迅速に行うため、AMPD-3の染色体遺伝子の構造の解明に努力しているが、今年度の研究において以下の成果を得た。 1.ヒト脾cDNAライブラリーのスクリーニングおよび5′-RACE法により決定した赤血球型AMPデアミネースcDNAの全塩基配列を基に、完全欠損例2例のBリンパ芽球を用いて、RT-PCR法とそれに続くdirect sequencingniにより変異を同定に成功した。完全欠損2例とも翻訳領域の同じ位置(1717番目の塩基)にCからTへの単塩基置換がみつかり、単アミノ酸置換(アルギニン→システイン)が同定された。 また、この変異の近辺のgenomic DNAの塩基配列の同定にも成功し、ゲノム遺伝子での分析、スクリーニングか可能となった。 2.酵素活性を発現する大腸菌ベクターに同定した変異(C1717T)を導入すると、酵素タンパクの存在はウエスタンブロット法で確認されたが、酵素活性の発現は完全に消失し、この変異が酵素欠損の原因であることが示唆された。 3.ゲノムDNAの分析から、完全欠損2例がこの変異のhomozygoteであり、部分欠損2例はheterozygotoであることが明らかになり、同定された変異が全体の変異の大部分を占めあることが予想された。予備スクリーニングから、同定した変異は全体の約75%を占めるが、他の変異遺伝子の存在も示唆された。これらの結果から日本人以外の他のアジア人や欧米人での頻度や変異の分布がさらに興味深いものとなった。また異なった変異の存在も示唆され、これらの変異の同定にとって、AMPD-3の染色体遺伝子構造の解明の必要性が増大した。
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