研究課題/領域番号 |
05671895
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
野崎 正勝 岐阜大学, 医学部, 助教授 (30021380)
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研究分担者 |
丹羽 雅之 岐阜大学, 医学部, 講師 (40156146)
栗山 学 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (30021439)
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キーワード | キノロン薬 / フルオロキノロン / 一酸化窒素 / 酸化窒素合成阻害 / 中枢興奮 / ホストディフェンス / 抗菌薬 / けいれん |
研究概要 |
ニューキノロン薬(NQ)と非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)併用による痙攣誘発は、NQそれ自体が中枢興奮作用を持ち、この中枢興奮作用がNSAIDによって増感されることによって起きると考えられることを既に報告した。マウスにNQを大量腹腔内投与すると、NQによって用量に差はあるが用量依存的に間代性痙攣を誘発し、痙攣を起こした個体は全て死亡した。このNQによる痙攣はGABA作動薬、アデノシン作動薬で抑制されず、抗NMDA薬に抑制傾向が認められた。しかし、酸化窒素(NO)合成酸素(NOS)阻害薬であるL-NAMEあるいはL-NMMAの前投与により確実に抑制された。他方、誘導型NOSに選択性があるL-NIO前投与はNQ痙攣に無影響であった。痙攣を誘発量のNQ投与後、痙攣発現における小脳のcGMP量は減少し、NOS阻害薬前処理でさらに減少し、同時に痙攣は発現しなかった。従って、NQの中枢興奮作用には構成型NOS刺激に基づくNO産生亢進作用が推測された。NQは好中球やマクロファージのような食細胞で、貪食、遊走、ホルボールエステルなどの刺激による活性酸素産生においてプライミング様効果を示した。しかし、マクロファージ-LPS系におけるNO産生には影響しなかった。NQによって痙攣を発現した動物のメトヘモグロビンレベルは上昇していた。以上のことから、NQの多彩な中枢作用(覚醒的な不眠、頭重、異常興奮など)には中枢神経系の構成型NOS刺激作用と、それに基づくcGMPレベル変動が多大に関与していると考えられた。また、食細胞におけるNQのプライミング様効果はホストディフェンスに寄与すると推測された。しかし、この機構にはNOの関与は無く、NO産生亢進はNQの有害作用に関与していると考えられた。
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