研究概要 |
イソニアジド(INAH)およびイプロニアジド(IPN)からのフリーラジカル生成とアスコルビン酸(AA)の影響について検討を行った結果、INAH,ヒドラジン(Hy)及びアセチルHyより生成したラジカルは等モルのAA添加によりいずれも有意に減少し、ラジカル強度の減少率とAA添加量との間には相関性が認められた。IPNおよびイソプロピルHy(IP-Hy)由来のフリーラジカル生成ではAAの添加によりIPN由来のラジカルは2倍モルのAAにより有意に減少し、IP-Hy由来のラジカルもAAの添加量に依存して顕著に減少した。 次いでAMのクリアランスを指標とする肝機能評価法によりIPNの肝障害に対するAAの効果を検討した。AMの血中濃度推移について1コンパートメントモデルを適用してk_<el>、クリアランス、分布容積を求めるとAA併用前処理によりk_<el>はIPN単独投与時に対して、明かな増大が認められた。また、クリアランスにおいてもAA前処理により顕著な増大が認められ、3倍モルのAA併用では2倍と有意な増加が認められた。IP-Hy前処理時においてもそのキネティックパラメータは、AA併用により消失速度定数が1.5倍と明かな増大が認められ、クリアランスは5倍モルのAA併用により1.5倍に、10倍モルのAA併用により2倍となり有意な増大が認められた。 次に病理組織学的にIPNの肝障害に対するAAの効果を検討した。IPN単独投与時は肝臓の組織像に広範囲な細胞壊死が認められ解離を起こしており、病理組織学的に肝臓の機能が著しく低下した状態と判定されたが、AA併用投与時には肝細胞壊死の程度が質的量的に顕著に低くなった。IP-Hy投与時においてもIPNの場合と同様にAA併用投与により細胞壊死の程度の顕著な低下が認められた。
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