研究概要 |
知覚神経の機能的変化とサブスタンスP(SP)代謝回転に関する生理学的および薬学的研究報告は比較的少ない。しかし、SP N-末端フラグメントの中には強力なSP拮抗作用を有するペプチドが知られている。例えば、SP(100 pmol)をアゴニストとして脊髄クモ膜下腔内へ投与し、その際認められるscatchong,bitingおよびlicking行動に対しSP(1-7)は2-4pmolの用量で統計学上有意な抑制効果を示す。そこで、SP(1-7)のD-体アミノ酸置換ペプチドを合成し、拮抗作用についての検討を行った。合成したSP(1-7)アナログは以下のペプチドである。 I.〔D-Arg^1〕SP(1-7) II.〔D-Arg^1,D-Pro^2〕SP(1-7) III.〔D-Arg^1,D-Pro^<2,4>〕SP(1-7) IV,〔D-Arg^1,D-Trp^7〕SP(1-7) これらの合成ペプチド中、SP(1-7)とほぼ同様の用量(pmol)で抑制効果を示したものはII.とIV.であった。以上の結果より、強力な拮抗薬の開発には4位のProは不要であることが判明した。また、I,はSP(1-7)よりも拮抗作用が劣ることより一位のD-Arg置換を欠くD-体アミノ酸置換SP(1-7)の合成が必要とされる。また、D-体アミノ酸置換SP(1-7)がSP(1-7)そのものよりもより強力な鎮痛活性を有する可能性も考えられるので、SP拮抗薬に比較的選択性を示すカプサイシン試験で検討する予定である。
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