研究概要 |
cyclosporinAやamikacinによる腎機能障害を防止する治療法は、まだ確立していない。また、そのような治療法に対する研究も少ない。本研究ではラットを用いて、cyclosporinAやamikacinによる腎機能障害をANP分解酵素阻害薬であるsinorphanが防止するか否かを検討した。cyclosporinA(50mg/kg・day)やamikacin(250mg/kg・day)を反復投与(14日または21日間)した群では腎機能障害が生じ、Clcrの低下,尿中NAG排泄量の増加およびPRA高価を認めた。また、組織学的にも腎尿細管上皮細胞の壊死及び脱落を認めた。しかし、sinorphan(50mg/kg・day)を最初から併用した群(14日間反復投与試験)あるいは8日目から併用した群(21日間反復投与試験)ではcyclosporinAやamikacinによる腎機能障害は著明に改善し、また、組織学的にもsinorphanの腎保護作用が明らかになった。 以上の成績より、sinorphanはcyclosporinAやamikacinに伴う腎機能障害の発症を防止するのみならず、すでに発症した腎機能障害も改善させることが示唆された。
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