重度免疫不全状態の宿主におけるカリニ肺炎の病態の解析

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05671915
• 研究機関: 国立予防衛生研究所
• 研究代表者: 吉川 泰弘 国立予防衛生研究所, 筑波医学実験用霊長類センター, センター長 (80109975)
• キーワード: エイズ脳症 / SIV_<mac> / アカゲザル / カリニ(PC) / タマリン

研究概要

1)SIV_<mac>から分離された32H株を接種したアカゲザルにおいて急性エイズ脳症が誘発された。リンパ節・脾臓においてマクロファージ系細胞の増殖が強くみられ、また脳実質にはマクロファージ・ミクログリア系細胞の浸潤・増殖がみられ、結節性集〓・巨細胞形成が認められた。マクロファージ内でのSIVの増殖が証明された。しかしこのアカゲザルの肺にはカリニの増殖はみられなかった。ARC期のアカゲザル肺では、カリニの増殖が高頻度に認められることから、急性期のエイズ脳症に伴う免疫異常(末梢血中未成熟CD_4細胞〓の上昇)と、ARC期の免疫異常(末梢血CD_4細胞の減少と、リンパ節での未成熟CD_4の増加)とは異なった性状のものであることが示唆された。
2)新世界ザルの属するタマリンで自然発生カリニ肺炎例が高頻度に認められたため、外見上健康な育成タマリンのはい洗浄法、PCR法、免疫染色法などを用いて臨床的、病理組織的に探索したが、PCの存在は検出されなかった。ウェスティング・シンドロームの疑われるタマリンであるが、正常状態ではカリニ原虫の増殖は完全に抑制されていることが明らかになった。

研究成果

• [文献書誌] 吉川泰弘・向井〓三郎・村山裕一・佐多徹太郎: "AIDSの動物モデル" Mebio. 10. 31-38 (1993)
• [文献書誌] F,Ochikubo,T,Nagata,Y,YoshikawaK,Yamanouchi: "Electro eucephalo graw and evdved potentials in the primute model of vivol ercephalitis" Elechoencephol,clinical,Neurol.88. 397-407 (1993)
• [文献書誌] T,Furuta,R,Mukai,S,Kojima,Y,Yoshikawa: "Severe pulmonaly pneumocjtosis in SIV induces S〓DS," Pavasitology Res.79. 624-628 (1993)
• [文献書誌] H,Takahashi,Y,Yoshikawa,C,Chai,K,Yamanouchi: "Mechanism of pruritas and peracute cleath in mice induced by pseudorafies virus infection" J,Vet.Med-Si. 55. 913-920 (1993)
• [文献書誌] 山海直,榊原一兵,長文昭,吉川泰弘: "ニホンザル卵子とカニクイザル凍結精子を用いた体外受精" 実験動物. 43. 45-50 (1994)
• [文献書誌] 山海直,清水慶子,長文昭,吉川泰弘: "室内繁殖コロニーで死亡したカニクイザルの卵巣から回収した卵子の培養と体外受精" 哺乳動物卵子学会誌. 10. 161-166 (1993)
• [文献書誌] 吉川泰弘: "ニューロコンピュターを用いた自動行動解析システムの開発" 株式会社シーエーテー, 125 (1994)
• [文献書誌] 山内一也,吉川泰弘(分担): "スローウイルス感染症" 山内一也,立石油編 近代出版, (1994)