研究概要 |
現在保有する散乱光を用いた血小板凝集能測定の試作機は,散乱光データの取り込みが遅いため経時的なデータの処理に問題があった。より演算能力の速いコンピュータを用い,またソフトを改善することで測定能力を高めた。 光源を新たに設置し,同一の検体について従来の光透過性を用いた血小板凝集と,散乱光による血小板凝集が判定できるようにした。散乱光強度と,血小板凝集塊のサイズの相関をコールターカウンター及び顕微鏡下の目視にて詳細に評価し,散乱光を用いた血小板凝集能測定の定量性を確認できるようにした。 試作機の改良ができたことにより,より詳細な血小板凝集塊生成の過程が評価できるようになった。また,光源を別に設定し,透過光による血小板凝集も測定できるようにしたことにより,これまでに蓄積された血小板凝集のデータとの互換性が得られたことは大きな収穫である。臨床検体の測定も開始し,現在までに糖尿病患者において,微小な血小板塊が刺激剤なしに生成することを見いだした。この事実はこれまでの血小板凝集能測定計では確認できなかったことであり,本装置の有用性を示すものといえる。当初に計画した目標は達成できたと考えられる。
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