研究課題/領域番号 |
05671922
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
赤水 尚史 京都大学, 医学部, 助手 (20231813)
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研究分担者 |
松田 文彦 京都大学, 遺伝子実験施設, 助手 (50212220)
須川 秀夫 京都大学, 医学部, 講師 (70162857)
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キーワード | VH遺伝子 / TSHレセプター / 抗TSHレセプター抗体 / バセドウ病 |
研究概要 |
自己免疫疾患の発症機序は、遺伝的素因、免疫機構の異常及び感染などの環境的要因が関与する多因子性と考えられ、甲状腺に関連する自己免疫疾患であるバセドウ病、橋本病及び原発性甲状腺機能低下症についても同様の諸要因が論じられている。ことにバセドウ病や機能低下症の一部では抗TSH受容体抗体(TRAb)が発症や病態形成に直接的に関与することから、これらにおける免疫グロブリン遺伝子の解析には多大の興味が寄せられている。そこで、我々は、平成5年度にTSH受容体抗体産生B細胞クローンの作成し、免疫グロブリン遺伝子の単離と解析を行なった。 1.TSH受容体抗体産生B細胞クローンの作成:患者の末梢血リンパ球をEB virusでtransformし、2回のスクリーニングによってTSH受容体抗体産生B細胞クローン計9個(刺激型4個と阻害型5個)を得た。 2.免疫グロブリン遺伝子の単離:B細胞クローンからmRNAまたはDNAを抽出し、すでに確立された方法で免疫グロブリンVH遺伝子の単離を行い、核酸配列などの解析を行なった。 その結果、以下のような結論を得た。 1.TBII遺伝子はすべてファミリーIIIに属していたが、TSAb遺伝子は多様であった。 2.TRAbのVH遺伝子は他の自己抗体のVH遺伝子に使用されたり、fetal repertoireに属しており、限られた種類の未分化VH遺伝子断片がVH領域に用いられていた。 3.単離した抗体はすべてIgM型ながら、すべてのVH領域にsomatic mutationが認められ、その頻度や部位が抗体活性に重要と考えられた。 今後、L鎖遺伝子の単離・解析を行い、H鎖の解析で得られた結果との比較検討を行なう予定である。また、IgG型抗体の単離、解析を行いアイソタイプの差による抗体TSHレセプター抗体の構造と機能の差異も検討したいと考えている。さらに、単離した遺伝子を用いて遺伝子工学的に抗体を再構築して細胞に発現し、それらを用いたin vivoの検討も行いたい。
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