生体液中Caの酵素的分析法の測定原理は、ホスホリパーゼD(PhL D)がCa^<2+>により活性化される度合いをコリンオキシダーゼとペルオキシダーゼを用いて測定することによりCa濃度を求める。 1.微生物由来PhL Dは活性化させるCa^<2+>の濃度範囲が非常に狭かったが、Ca^<2+>以外の2価金属イオンを添加すると、Ca^<2+>の測定範囲が広くなった。この効果はMn^<2+>で最も大きく、Mn^<2+>添加系でのPhL Dの反応速度はサンプル中のCa^<2+>濃度として20mMまで直線的に増加し、良好な検量線が得られることも判明した。 2.本測定系に用いられた放射菌由来コリンオキシダーゼは他の微生物由来のものより安定で耐熱性に優れていたので、酵素試薬は混濁沈殿や変性もせず、長期間安定であった。 3.本法は他のイオンの影響を認めず、本法による血清Caの結果は原子吸光法による結果とよく相関した。 4.PhL Dとコリンオキシダーゼからなる同時固定化バイオリアクターカラムと光学発光法を用いて、Ca^<2+>の高感度分析を試み、試料1μL当たり10pmolの過酸化水素を検出することができた。 亜鉛の酵素的分析法は亜鉛酵素を用いて行われた。 5.亜鉛が除去されたアポアルコール脱水素酵素に亜鉛を添加しても酵素活性は回復しなかった。しかし、アルカリ性ホスファターゼはキレート剤などで亜鉛除去後、それに亜鉛溶液を加えると亜鉛濃度に比例して、酵素活性が回復した。 6.サーモリシンは1分子に亜鉛が1個存在し、その亜鉛はキレート剤などにより容易に除去できたが、サーモリシンはプロテアーゼであるので、その酵素活性測定に問題があり、組成が明確な基質が必要である。
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