研究概要 |
初年度は,慢性気道疾患の直接的な原因となる喀痰の性状に注目し,痰の粘稠性を増大させる要因について検討すると共に,病態と生活環境および治療状況との関連を統計学的な分析から見るために,呼吸器疾患患者を対象に質問表を用いて調査を行った。 次年度は,外来および住宅患者を対象に面接調査を行い経過の継続的な観察および経過良好群の生活背景等を検討した。それらの成果をもとに呼吸器疾患患者の自己管理に必要と思われる内容のパンフレットを作成し,配布した。 最終年度は,さらに経時的な変化を見るためにアンケート調査を行い,それらの成果をまとめた。 平成7年度の結果 低肺機能患者からなる会の会員および住宅酸素療法をしている40歳以上の者を対象とした。調査は自記式のアンケート調査表をもちいて郵送法により行った。対象者の平均年齢は,男性が66.3歳で,女性は65.2歳であった。 体調が悪い者の日常生活は,自宅に閉じこもりがちになり,そのことが生きがいの喪失にもつながっていると思われる。呼吸器疾患患者の大半は,呼吸困難による不安感のために自ら活動制限をしがちであるが,大半は,筋力の低下予防や,呼吸機能の低下を促進させないために運動を継続的に行うことが好ましいとされている。こういった点での患者への指導が,在宅での日常生活の実態に則して行われることが重要と思われる。 対象者の健康管理の実態については,十分に知識をもって行われておらず,日常生活の範囲も縮小しがちであり,生活の質にも影響していると思われる。しかし,日常生活はどうにか自立できる者が多いことから,在宅サービスを利用していない者が多い。今後,これらの改善のためには,患者の生活の場に密接に関わることができる医療および福祉サービスを総合的に活用した生活の援助が必要であると思われる。
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