研究概要 |
研究の経過 初年度は,慢性気道疾患の直接的な原因となる喀痰の性状に注目し,痰の粘稠性を増大させる要因について検討すると共に,病態と生活環境および治療状況との関連を統計学的な分析から見るために、呼吸器疾患患者を対象に質問表を用いて調査を行った。 次年度は,外来および在宅患者を対象に面接調査を行い経過の継続的な観察および経過良好群の生活背景等を検討した。それらの成果をもとに呼吸器疾患患者の自己管理に必要と思われる内容のパンフレットを作成し,配布した。 最終年度は,さらに経時的な変化を見るためにアンケート調査を行い,それらの成果をまとめた。 成果および今後の課題 初年度の研究成果からは,慢性気道疾患患者の管理の焦点は,"去痰"を的確におこなうことにあり,喀痰の性状に注目することの重要性が示唆された。 呼吸器疾患患者の実態調査の結果からは,慢性気道疾患患者には高齢者が多く,長期にわたる療養生活を送っている者が多いことがわかった。しかも高齢者においては,加齢に加え,症状の悪化により呼吸機能の低下とともに,日常生活にも支障を来すほど活動制限が生じていた。また在宅酸素療法をしている患者が,日常生活の自己管理として栄養バランスや飲水量および体重の管理に気をつけている者は約半数であり,呼吸管理としても排痰法や呼吸体操およびネブライザー吸入を知っている者や実施している者は少数であることがわかった。これらのことから,健康管理は,十分に知識をもって行われておらず,日常の生活の範囲も縮小しがちであり,生活の質にも影響していると思われる。しかし,日常生活はどうにか自立できる者が多いことから,在宅サービスを利用していない者が多いことがわかった。 今後の課題として,これらの改善のためには,地域の保健および福祉活動における援助の対象者としてとらえ,生活全体を見渡した広い視野から看護活動のあり方を検討していきたい。
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