本研究は、自分で身体を動かすことができない臥床安静の患者を対象にして、長時間の同一体位の保持、体位変換が生体に与える影響を循環動態・呼吸代謝の側面から検討することを目的に行った。皮膚血流量の測定部位を決めるための予備実験を含め健康な成人12名を被験者にして、全く動かない状態で仰臥位を60分間保持した後、上半身を45°挙上した半座位に体位変換し、さらに60分間保持した条件のもとで皮膚血流量・分時換気量・酸素消費量・心拍数・呼吸数・血圧を測定した。また、情動面が影響していると思われたので脳波も追加して実験を行った。 実験の結果、つぎのようなことが解った。 【.encircled1.】皮膚血流量(右第2指の指腹にセンサーを装着)は、30分経過した頃から血流値の変動の振幅が小刻みに大きくなった。そして40〜50分の間、10ml/min/100g程度低下し血流の波形の振幅が殆どなくなり直線に近い波形を示した。半座位に体位変換後40〜50分経過した頃にも同様の傾向が現われた。 【.encircled2.】仰臥位を保持して40〜50分経過後、分時換気量は20%程上昇し、酸素消費量は40〜60%程度上昇し酸素摂取率は下降している。体位変換後、分時換気量も酸素消費量も10%近く下降するが40〜50分経過すると再び上昇する傾向を示した。 【.encircled3.】脈拍は30〜40分経過後5〜10減少するが、その後は元の数値に戻り、半座位に変換後は仰臥位のときより5〜10多くなったが時間の経過に伴う変化はあまりみられなかった。 【.encircled4.】仰臥位・半座位とも40〜50分経過した頃より、情動面でも変化がおこり眼球の動き・瞬きが多現在、研究発表に向けて投稿準備中である。
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