研究概要 |
看護の本質的な機能と役割を分析し,また現実の看護業務を把握するため,ある中規模地域中核病院において24時間6日間にわたりワークサンプリング法により業務内容の分析を行なった。その結果,記録・情報交換に看護婦の業務の約44%が費やされており,看護記録の記入や申し送りの方法について改善する必要性が明らかになった。また薬物投与に関する業務においても今後の検討の必要性が明らかになった。 上記の調査結果より職種別委譲可能業務量を,各職種への業務委譲の可能性として予測した結果,勤務帯を考慮せずに100%ある特定の業務がある他職種に委譲できると仮定した場合には,現在の看護業務の28%が委譲できることが明らかになった。またある職種を特定の勤務帯に配置した場合の看護業務量の変化を予測していった結果,可能な職種に,可能な時間帯に,ある特定の業務を委譲してゆくことにより,現実的で融通性に富んだ業務委譲の方法が見い出せることが分かった。 また看護業務の生産性の向上を計るという意味で,看護の生産性を質・量両面から把べるための概念枠組を出し,それぞれの構成要素間の関連性を検討し,さらに看護の経済性をも加味しながら,看護の専門性を十分生かせるようなチーム医療体制について今後は検討してゆく予定である。
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