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1993 年度 実績報告書

服飾における懐古趣味-フランス・ロマン主義と異装-

研究課題

研究課題/領域番号 05680007
研究機関お茶の水女子大学

研究代表者

徳井 淑子  お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (80172146)

キーワード異装 / 懐古趣味 / エグゾティスム / ロマン主義 / 仮装 / 仮装舞踏会 / 舞台衣裳 / ボエーム
研究概要

1.ロマン派の芸術家における懐古趣味の異装は、歴史劇や歴史小説の流行と関わる。これについてデュマの戯曲『アンリ3世とその宮廷』の上演の影響を調査した。芸術家の異装を伝える文学作品・回想録の記述には「アンリ3世風」「サン・メグラン風」など戯曲の登場人物の名を冠した表現とともに、同王の治世に特徴的な衣服であるプールポワンの言葉が散見され、デュマの芝居の影響を思わせる。芝居は大成功をおさめたが、その大きな理由に歴史考証に基づく舞台衣裳の見事さがあった。衣裳を担当したデュポンシェルは、この後オペラ座のオペラやバレーを手掛けて、現実味があり、しかも幻想的な衣裳を創作し評判をとった。時代考証に努めることは、ロマン派演劇の演出法の特徴であり、ここには歴史上の服飾に対する関心がうかがわれる。異装の直接の起因がデュマの芝居にあり、服飾史に対する興味が異装を支えたことを明らかにした。
2.芸術家に異装を促した時代の風俗として、カーニヴァルの仮装について、その特色を考察した。1830年代に隆盛を極めたパリのカーニヴァルは、伝統的な仮面舞踏会よりも仮装に重心をおいた舞踏会であり、しかもマルディ・グラの最終日に限らず、カーニヴァルの期間を通して行われて、若者にとって冬の唯一の楽しみであった。仮装は当時のオペラ・コミックやヴォードヴィルの登場人物の扮装に取材されることも多く、ここにも舞台衣裳の大きな影響が認められた。
3.祝祭の期間に限ることなく、ロマン派芸術家は日頃から住まいで仮装談話会などを開いていた。そのような芸術家独自の生活空間と彼らの生活感情とを検討した。彼らは服装だけでなく、生活の全体において徹底して過去を模倣しており、ここには芸術空間の遊びに飽き足らず、実生活にまで想像の世界を持ち込むボエームの精神性を認めることができた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 徳井淑子: "フランス・ロマン派の異装の発端-『アンリIII世とその宮廷』の上演をめぐって-" 服飾美学. 23. 1-24 (1994)

  • [文献書誌] 杉野正・小池三枝: "服飾文化論" 放送大学教育振興会, 160 (1994)

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公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

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