研究課題/領域番号 |
05680008
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
山野 春子 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助手 (90242338)
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研究分担者 |
中島 利誠 お茶の水女子大学, 生活科学部, 教授 (00013152)
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キーワード | 地球環境 / 紫外線 / 生体の傷害 / 紫外線遮蔽効果 / 紫外線遮蔽加工製品 / 生化学的測定 / 生体成分 / 酵素活性 |
研究概要 |
近年、地球環境が急速に悪化しつつあり、フロンガスによるオゾン層の破壊もその一つで地球上に致達する紫外線の増加による生体の傷害が問題となってきている。これに呼応し、日常生活においても様々な遮光対策が採られ、衣服や化粧品にもその役割が要求され紫外線遮蔽加工製品が競って開発されている。従来、遮蔽効果を測定するには光学的測定法に加え、生物学的測定法としては被験者を使って光を照射し紅斑が生じるまでの時間を測定するSPF法が採られていた。この方法は、直接人体に対する影響を調べられる利点もあるが、被験者の確保や個人差の問題、照射光源の種類や方法等が限定されるなどの短所がある。本研究は人体を使わず、生物学的な紫外線遮蔽効果を測定できる方法として、従来行われたことのない生化学的測定法を導入した。生体成分物質としてタンパク質を採り上げることとし、生体に広く分布し生体物質の代謝に不可欠で、活性変化を測定することにより容易に紫外線の影響を定量できる酵素を用いた。紫外線無照射時の酵素活性に対し、紫外線遮蔽加工繊維と対照布で試料を覆い紫外線照射した場合及び覆いをせず紫外線照射した場合の酵素活性を比較することにより紫外線遮蔽効果を求めた。その結果、本研究で用いた加工繊維製品は対照布に比べて紫外線遮蔽効果は著しく高いが、照射時間が増すにつれて酵素活性の低下がみられ、従来の測定法では不可能であった遮蔽効果の生体に及ぼす経時的変化を測定できることが明らかになった。このことから本方法は紫外線遮蔽効果測定法として特筆すべき長所を持つものであることがわかった。今後は、他の生体構成重要成分についても検討を行う計画であるが、いずれも人体を使わない測定法であるため種々の波長や時間における紫外線の照射実験等も可能で、紫外線遮蔽効果の測定にとどまらず、紫外線の生体成分代謝における影響などについても検討できると考えられる。
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