研究概要 |
戦後の家庭科教育の実践のうち,比較的資料が揃っている1960年代から30年間余(1960年1月から93年10月まで)の市販の月刊雑誌等の授業記録を教授学でいう「授業を構成する4つのレベル(教育内容,教材,教授行為,学習者)」に対応して分析した。とくに,今年度は男女共学の家庭科を推進する上で,現在大きな課題となっている「消費者教育の動向」に焦点を合わせて分析した。なお,授業記録は家庭科教育関連の8資料(家庭科教育,家庭科研究1985年より月刊家庭科研究,新しい家庭科We,技術教育1978年より技術教室,授業づくりネットワーク,季刊家庭科教育の実践,季刊女子教育もんだい,消費者教育支援センターデータベース)より抽出した。 8資料に掲載された授業実践記録は小学校,中学校,高等学校合わせて2,601事例であった。 1960年代は620例,70年代698例,80年代887例,90〜93年は396例であり,年々増加している。家庭科関係資料は60年代には収録資料は3種しかなかったが、今日では8資料となり,家庭科をとりまく教育環境は男女平等教育への期待と共に変貌しているし,教科外からの期待も大きく,それだけ実践者の役割は重要となっている。 2,601例の内,消費者教育に関連する実践例は350例であった。350例を4つのレベルごとにみていく。教育内容では「商品やサービスの講入,使用」を主とするものが319件あり,そのうち,「安全性に関するもの」は131件であった。教材では「教科書教材」が92例,「独自教材」が80例で,相半ばしていた。教師の研究スタイルは「教科書追随型」が92例,「開発独自型」が21例,「追試型」が15例で、教師の研究態度には問題がある。
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