研究概要 |
1.測定ヘツドの改造とそれに伴う測定:直径100mm、厚さ10mmの試料を要する従来のヘツドを光フアイバー式の測定ヘツドに交換し、直径5mm、厚さ5mm程度まで試料量を大幅に削減することが可能になり、しかも従来の測定結果と全く同様な傾向がみられることが明らかとなり、今回の改造によって比較的少量の試料について従来と同様に本法を適用することが可能となった。 2.データ処理用装置の設置と解析プログラムの作成:測定結果を含水量、水分活性Awなどに対してプロットし、その直線性を相関係数、RMSなどから検討するためのプログラムを作成し、現在装置を稼働中である。 3.測定結果からの知見:種々の粉末試料(食物繊維:ポリデキストロース,グアガム部分分解物、難消化性デキストリン、米糖、小麦ふすま、ヒアルロン酸、アルギン酸ナトリウム)をいろいろな湿度において吸湿、または脱湿し、見かけの近赤外線吸収率(1-r′:r′は測定波長/比較波長が1978/1796nmおよび1496/1300nmの反射比)を測定した結果、次のことが認められた。 (1)吸収率vs含水量から、強固な結合水の量をかなり明確に推定できる。 (2)Awがおよそ0.75以下では、吸収率とAwとの間にほぼ直線関係が成立したが、一部の試料ではAw0.25付近で傾斜のわずかな変化を示し、単分子層吸着水と多重層吸着水とでは近赤外線吸収挙動の異なることが示唆された。 (3)自由度の高い水(自由水)と単分子層〜多重層吸着水とは近赤外線吸収の挙動が異なることが示唆された。 (4)多くの場合、1978/1796nmの方が1496/1300nmよりも精度よく測定できる傾向がみられたが、アルギン酸ナトリウムのみは逆の結果が得られた。
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