更年期の生活の質(Quality of life)に及ぼす“栄養欠陥状態"の影響を明らかにした。本研究の第一段階として、更年期のQOL評価の方法を開発し、その妥当性と信頼性を検討した(平成5-6年度)。第2段階では、閉経を考慮しながら、更年期のQOLに及ぼす“栄養欠陥状態"の影響を横断的研究ならびに介入研究によって検討した(平成7年度)。これらの成果に基づいて、QOLの優れた更年期をすごせるような健康・栄養教育のための具体的な方策を提唱しようとしている。 茨城県に在住する更年期女性200名を対象にして閉経、栄養状態(身体計測、血液生化学的検査)、QOL(平成6年度開発した調査方法による)に関するベースライン調査を実施し、1年後の第2回調査を実施した。ベースライン時の閉経状態、栄養欠陥状態を分析し、QOLの変化に栄養状態がどのような変化をもたらすかを分析をした結果、ビタミンB6、β-カロチンなどが潜在的欠乏状態に陥っていたり、あるいは血清総コレステロール値、中性脂肪などが潜在的に過剰状態を示している人達は、栄養状態が改善すれば、QOL得点、とくに精神的QOL得点が向上することが明らかになった。一方、更年期のボランティア女性50名を対象にして、栄養教育を一定のプロトコールに基づいて実施し、栄養状態の改善に伴うQOLの改善率を評価し、栄養状態の改善はQOLの向上に有効であった。
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